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独立行政法人国立病院機構 仙台医療センター 血液内科ホームページ

目次

はじめに

当科は西5階病棟40床を定床とし、悪性血液疾患治療が主体だが、特発性再生不良性貧血等の非悪性重症疾患、特発性血小板減少性紫斑病および血液凝固系疾患まで血液疾患全般を診療している。今日の高齢化社会を反映し、血液疾患も特に悪性疾患に高齢者の増加が目立っている。今年度は移植療法に意欲的な若手医師加入により、同種造血幹細胞移植、自己末梢血幹細胞移植数は大幅に増加した。現在、個室、2床室は全てセミクリーンルーム化しており、無菌室(クリーンルーム)を2床有している。当科は日本臍帯血ネットワーク登録移植医療機関施設となっているが、日本骨髄バンク非血縁者間骨髄移植施設認定も目指しているところである。

診療実績

入院患者

平成21年度全入院患者数は482名で、重複を除いた入院患者数(右図)も215名とやや減少したが、一方、外来化学療法患者数が増加している。

疾患内訳(右図)は、悪性リンパ腫95名と最も多く、引き続き増加傾向である。急性骨髄性白血病24例、急性リンパ性白血病患者12名。多発性骨髄腫40例と年々増加傾向が目立つ。多発性骨髄腫は標的療法薬プロテアソーム阻害薬ボルテゾミブ(ベルケイド)、サリドマイド使用可能となり、治療成績が向上している。

造血幹細胞移植

同種造血幹細胞移植10例(一例は2回移植)施行し、これまでで最も多かった。臍帯血移植が7例を占めた。対象疾患内訳は、急性骨髄性白血病3例、急性リンパ性白血病1例、骨髄異形成症候群1例、非ホジキンリンパ腫2例、再生不良性貧血2例、横紋筋肉腫1例であった。大部分の同種移植症例は、再発例や非寛解例で、結果は満足すべきものではないが、一般的に予後不良なケースである。

自己末梢血幹細胞移植例10例施行。疾患内訳は多発性骨髄腫6例、非ホジキンリンパ腫4例である。本年度はこれまで最高齢の69歳2症例を行った。全身状態の回復はやや遅い印象である。合併症等の禁忌が無ければ、65歳以下の多発性骨髄腫は全例移植を行っている。非ホジキンリンパ腫の42歳男性症例は、HIV感染、中枢神経リンパ腫合併例で早期に再発し不幸な転機をとったが、他の9例は生着し現在まで経過良好である。

臨床評価指標

  1. 急性白血病初回治療寛解率:目標値:65歳以下>80%、65歳以上>60%
  2. 造血幹細胞移植100日生存率:目標値:同種移植>90%、自己移植>100%

研究実績等

本年度は、国立病院機構血液ネットワーク共同研究、1)HCV感染と悪性リンパ腫の発症リスクの解析、2)好中球減少症に持続性発熱を併発した患者に対する経験的抗真菌治療におけるイトラコナゾール注射剤とアンホテリシンBリポソーム製剤の多施設共同前向き無作為化臨床試験等に参加している。

今後の展望

当科は宮城県内の血液疾患診療科としては最大の病床数を有しており、県内での貢献度は大変大きいと考えている。移植適応患者から多くの合併症を持つ高齢患者の治療まで対象は広範で患者数も多いが、スタッフ数が限られチーム医療を構成することが困難であり、個々のスタッフの負担は大きい。最近の標的薬剤等の導入により、幾つかの疾患で治療成績の大幅な向上が見られているが、多くは全例登録調査対象となり調査票記入などの負担を伴っている。

以上の現況に基づき今後の方向性を考察する。

  1. 各疾患の治療方法や支持療法の標準化、同意説明書等を含めた診療関連書類の適切な管理、予め統一された危機管理方針をたて不測に事態に備え、日常医療業務の安全性向上および効率化を図り、スタッフの肉体的、精神的ストレスを軽減しより良き医療環境を構築する。
  2. その上で、更なる臨床研究への積極的参加、成人白血病研究グループ(JALSG)参加および臨床治験への参入を図る。
  3. 日々進歩し膨大になっている医学情報を適切に収集し日常医療に活かす体勢構築を進める。
  4. 病院経営に対して薬剤、輸血等の適正使用に努め経費率低減を図る等優良経営に貢献する。
  5. 労働環境改善を進めることにより優れた医師の確保に向けた体勢作りをする。
  6. 若手医師、一般市民の血液疾患に対する興味、関心を高めるよう情報発信を進める。

21年度目標結果

急性骨髄性白血病初回治療寛解率

全15症例:67%、15例中12例に寛解導入し、8例寛解。

65歳以下:86%、8例中7例に寛解導入し、6例に寛解。

65歳以上:40%、7例中5例に寛解導入し、2例寛解。

急性リンパ性白血病初回治療寛解率

全6症例:50%、6例中4例に寛解導入し、3例寛解。

造血幹細胞移植100日生存率

同種造血幹細胞移植:78%、9例中7例100日生存

自己末梢血幹細胞移植:90%、10例中9例100日生存

22年度目標

  1. 血液疾患患者全例登録
  2. クリティカルパス追加:2パスの新導入とパス該当率>30%
  3. 急性白血病寛解率>65歳以下症例で寛解率80%以上の維持と高齢患者寛解率>60%を目指す