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産婦人科

概要

産婦人科の診療分野は大きく分けて、妊娠分娩を扱う産科と女性生殖器の疾患を取り扱う婦人科に分かれています。スタッフの専門領域はさまざまですが、臨床の場においてはスタッフ全員が一致協力して診療にあったっており、産科・婦人科いずれにおいて宮城県内でも有数の症例数を取り扱っています。病床数は産科40床、婦人科30床です。

婦人科領域で扱う主な疾患は、良性疾患では子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣腫瘍等の腫瘍性疾患と、感染症(性感染症、骨盤腹膜炎)、子宮脱等の疾患であり、悪性腫瘍は、卵巣癌、子宮体癌、子宮頚癌が3大悪性腫瘍であり子宮体癌、卵巣癌が増加しています。入院患者の約70%は悪性腫瘍患者であり、これら悪性腫瘍患者に対して手術、化学療法、放射線治療が行われています。産科領域では双胎妊娠や母体に糖尿病などの合併症をもつハイリスク妊娠の妊娠・分娩の管理、切迫早産・早産例の管理を行っており、産褥の大出血例を含む多数の搬送例を受け取っています。

医師紹介

職名 氏名 卒業年 専門分野 専門医資格等
産婦人科医長 吉永 浩介 平成6年 女性生殖器悪性
腫瘍診断治療
日本産科婦人科学会専門医、産婦人科専攻医指導施設指導医、婦人科腫瘍専門医、婦人科腫瘍指導医、臨床細胞専門医、がん治療認定医、母体保護法指定医、臨床研修指導医、女性ヘルスケア暫定指導医、東北大学大学院医学系研究科大学院非常勤講師、東北大学医学部臨床教授、東北医科薬科大学臨床教授、がんのリハビリテーション研修修了
産婦人科医長 武山 陽一 昭和63年 臨床遺伝学、
周産期医療
日本産科婦人科学会専門医、臨床遺伝専門医、日本周産期・新生児医学会暫定指導医、新生児蘇生法「専門」コースインストラクター、東北大学医学部臨床教授、母体保護法指定医、臨床研修指導医
産婦人科医長 石垣 展子 平成9年 周産期医療 日本産科婦人科学会専門医、臨床研修指導医、女性のヘルスケアアドバイザー養成プログラム修了、母体保護法指定医
医師 松浦 類 平成10年 臨床遺伝学、
周産期医療
日本産科婦人科学会専門医、女性のヘルスケアアドバイザー養成プログラム修了、臨床研修指導医
医師 田邉 康次郎 平成13年 婦人科内視鏡手術、
婦人科腫瘍
日本産科婦人科学会専門医、日本産科婦人科学会指導医、母体保護法指定医、臨床研修指導医、日本産科婦人科内視鏡技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医、がん治療認定医、東北大学医学部臨床准教授
医師 柏舘 直子 平成17年 婦人科腫瘍、
周産期医療
日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医
医師 石山 美由紀 平成25年    
医師 齋藤 裕也 平成26年    
医師 橋本 栄文 平成27年    
医師 佐藤 友里恵 平成27年    
非常勤医師 明城 光三 昭和55年 周産期医療、
超音波医学、
医療安全
日本産科婦人科学会専門医、超音波学会指導医・専門医、母体保護法指定医、臨床研修指導医

診療実績(平成24年)

1. 婦人科領域

平成24年に診断治療した悪性腫瘍患者数は、子宮頚部上皮内癌(CIN3を含む)80例、子宮頚癌(Ia期以上)14例、子宮体癌23例、卵巣癌35例(境界悪性腫瘍を含む)、子宮平滑筋肉腫1例、転移性卵巣癌1例でした。近年の悪性腫瘍の手術件数を表1に示します。表2に示すとおり腹腔鏡下手術は年々増加しています。平成24年の開腹手術数は171件、腹腔鏡下手術件数は274件、その他の手術が107件でした。

表1 悪性腫瘍の手術件数(平成19年〜平成24年)
疾患名 術式 平成
19年
平成
20年
平成
21年
平成
22年
平成
23年
平成
24年
子宮頚癌 広汎子宮全摘 12 8 3 7 4 0
拡大子宮全摘・準広汎子宮全摘術 1 2 4 2 7 2
単純子宮全摘 5 4 17 5 9 5
円錐切除 6 15 30※ 83※ 90※ 80※
子宮体癌
(含肉腫)
子宮悪性腫瘍手術 18 17 21 30 25 15
単純子宮全摘 4 7 6 8 6 6
卵巣癌 子宮付属器悪性腫瘍手術 8 12 17 15 7 7
両側付属器切除(+子宮全摘術) 4 6 6 5 16 19
片側付属器切除 3 1 3 2 1 10
試験開腹 0 0 3 4 2 2

子宮悪性腫瘍手術:単純子宮全摘術(準広汎子宮全摘術)+両側付属器切除術+骨盤リンパ節郭清術。

子宮付属器悪性腫瘍手術:単純子宮全摘術+両側付属器切除術+大網切除術+骨盤リンパ節郭清術(+大動脈リンパ節郭清+虫垂切除術)。
※: CIN3を含む

表2 腹腔鏡下手術件数(平成19年〜平成24年)
術式 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年 平成23年 平成24年
卵管切除術 9 9 13 11 22 16
卵巣腫瘍摘出術 38 48 46 49 53 66
付属器切除術 11 16 25 33 36 58
LAVH※ 2 2 1 12 3 4
腹腔鏡下子宮全摘術         41 88
筋腫核出術   1 6 17 56 47
その他# 1 1 1 2 0 1
61 77 92 123 211 274

※腹腔鏡補助下腟式子宮全摘術。

#子宮内膜症病巣切除術、虫垂切除術。

表3 平成24年 手術を要した主な良性疾患(重複あり)
疾患 件数 疾患 件数
子宮筋腫 187 癒着胎盤 2
卵巣腫瘍(茎捻転) 107(17) 子宮頸部瘢痕部妊娠 1
チョコレート嚢腫 39 頸管ポリープ 1
子宮外妊娠 16 後腹膜腫瘍 1
子宮脱 15 子宮内異物 1
子宮腺筋症 11 子宮留膿腫 1
子宮内膜増殖症 7 腹腔内出血 1
被包水腫 6 腟内異物 1
卵巣・卵管膿瘍 4 子宮捻転 1
腟断端離開 2 卵管水腫 1
外陰血腫 2 IUD感染 1
虫垂腫瘍 2 腟中隔 1

2.産科領域

全国的に産科診療施設が少なくなっている中で、地域において当院の産科診療における重要性は増すばかりであり、分娩件数も年々増加しています。

  平成20年 平成21年 平成22年 平成23年 平成24年
妊娠22週以降分娩母体数 904 907 967 998 1092
母体搬送受け入れ件数 12 22 61 77 82
セミオープン率(%) 33.4 37.2 39.6 47.3 54.9

平成24年の妊娠22週以降の分娩母体数は1092件でした。7件が死産でした。母体死亡は0でした。早期新生児死亡はなく、周産期死亡率は6.3となります。双胎妊娠が12件ありました。妊娠12週から21週の死産は7件、胞状奇胎、人工妊娠中絶術を含む妊娠12週未満の流産が84件あり、奇形は22週以降に2例、12週から21週に2例認められています。

妊娠22週以降の分娩母体のうち他院からの緊急母体搬送は82件であり、他院への緊急母体搬送は7件でした。妊娠22週以降の分娩母体のうち、初産婦が524(48.0%)、経産婦が568(52.0%)であり、分娩時母体年齢が15歳から19歳であったのが8例(0.7%)、40歳以上が56例(5.1%)、35歳から39歳が278例(25.5%)でした。

現在仙台市では勤務医の負担を減らすために全国に先駆けてセミオープンシステムを行っていますが、このシステムを利用は年々増加し、600件(54.9%)となっており、平成23年の47.3%より大幅に増加しています。脱落例は57件でした。里帰り出産は60件(5.5%)であり、平成23年と同様にさほど多くありませんでした。

主な産科合併症は、重症妊娠高血圧症候群22例、常位胎盤早期剥離5例、前置胎盤/低置胎盤6例であり、分娩時出血量が1500mlだったのが42例でそのうち9例が2000ml以上でした。主な偶発合併症は精神疾患22例、てんかん3例、中枢神経疾患4例、循環器疾患(高血圧症含む)8例、糖尿病/妊娠糖尿病25例、甲状腺疾患14例でした。またRh陰性妊婦が15例でした。

帝王切開術は381件(34.9%)であり、平成23年の36.1%よりやや減少しています。双胎妊娠分娩は全例帝王切開術であり、妊娠36週以下の単胎早産分娩98件のうち55件(56.1%)が帝王切開術で、内75%が緊急帝王切開術でした。単胎正期産(妊娠37週から41週)の初産婦473件では30.7%、内66.2%が緊急帝王切開術、単胎正期産経産婦509件では33.2%)、内18.3%が緊急帝王切開術でした。単胎正期産経産婦の手術適応は86%が既往の帝王切開でした。

年間1000件以上の分娩があると、かなりの死産があります。死産後の母親や家族は悲嘆の過程をとり、そのためのケアが必要になります。平成15年4月から悲嘆の過程への援助として『死産の事実を受け止め、悲しい感情を表出ができるように関わる』『退院後に思い出となるようなものを形として残す』などを方針に掲げ、この援助を実践しています。また宮城県では東北公済病院に引き続きWHO 、ユニセフより BFH(baby friendly hospital) の認定を受けました。

研究業績

和文著書1編、和文論文6編、全国学会8題、地方学会5題の発表があります。班研究への関与は、明城が厚生労働科学研究「早産・低出生体重児増加要因の分析とその結果に基づく予知・予防対策に関する研究」ならびに厚生労働科学研究エイズ対策研究事業「HIV母子感染の疫学調査と予防対策および女性・小児感染者支援に関する研究」の分担研究者を務めています。

今後の展望

婦人科疾患の中では、近年子宮内膜症の手術例が増えています。不妊症の原因となっている場合や強い月経痛がある場合、Gn-RHによる内分泌療法はありますが、根治には至らず再発例が多いことから手術療法を必要とするケースが少なくないのが現状です。そこで今後とも内膜症に対する腹腔鏡下手術が増加すると考えられます。良性の卵巣腫瘍は可能な限り腹腔鏡下手術を適応する方針で臨んでいます。卵巣癌は進行例が多く、術後化学療法を短期間入院で行っており、終末医療については在宅、ホスピスケアーなど患者のQOL向上を目的として診療を進めたいと考えています。

現在宮城県の周産期医療は未熟児を取り扱うことができる施設が限られており、常に満床の状態が続いています。2003年に宮城県立こども病院が開設され、改善されるものと思われましたが、他県に搬送する症例はほとんどなくなったもののベッドに余裕がない状態は解消されていません。当院においては一時新生児を診療する医師が不在となったため、NICUは稼働できない状態となっていましたが、現在は再開し、2011年4月よりは妊娠28週以上の早産を取り扱えるようになっています。当院は充実した診療科を擁する特色を生かして、中枢神経系疾患、内分泌疾患、血液疾患、消化器疾患、精神疾患などの合併症をもつ妊婦の管理が可能でありその数も多いことに大きな特徴がありますが、NICUがあって初めてこれが可能となっています。全国的に産科診療施設がどんどん少なくなっている中で、地域において当院の産科診療における重要性は増すばかりであり、分娩件数も年々増加しています。

外来受付時間

初めての方

8:00〜10:30(放射線科は10時まで)

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