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最終更新日 2012年5月7日
がん患者さんとご家族の方は、がんといわれた時、治療を受けるとき、検査をしているときなど、こころの痛みや体の辛さを経験していると思います。
いろいろな辛さを経験しながら、家族のこと、友人のこと、仕事のことなどを考え生活をしていくことは、とても大変なことだと思います。
少しでも、こころとからだの辛さを少なくして、生活を楽しく・長く過ごしていきたいですね。
「緩和」を辞書で引くと、「きびしい状態をやわらげたりゆるめたりすること。また、やわらぐこと。」(大辞林第二版 三省堂)とかかれています。
つまり、緩和ケアとは、症状をやわらげたり、楽になるように支援することです。
病気を治療している最中でも、辛い症状を我慢する必要はないのです。
辛い症状を我慢していると、気持ちが滅入り、楽しいと思う時間が少なくなり、こころやからだが辛くなって、治療が中断してしまうことがあるかもしれません。
緩和ケアは、病気にかかり、辛い症状が出現したときに、それらの症状をやわらげ、患者さんと家族ができるだけ、その人らしい生活を送ることができるようにすることを目的としています。
治療の最中でも、治療が終わった後でも、辛い症状を和らげることで、自分の生活や、大切な人との時間を有意義なものへとつなげられると考えられます。
緩和ケアは、現在、がんの患者さんとHIVの患者さんを対象に行われています。
緩和ケアチームとは、辛い症状を楽にするための専門のチームです。
主治医の先生は、病気の治療を行い、緩和ケアチームは主治医と協力しながら病気に伴うつらい症状の治療を行います。患者さんの応援団が増えたと考えてください。
緩和ケアチームは、身体的苦痛担当医師・精神的苦痛担当医師・がん性疼痛看護認定看護師・がん化学療法看護認定看護師・地域医療連携室看護師・がん薬物療法認定薬剤師・理学作業療法士・管理栄養士・医療相談員・臨床心理士など、多職種のメンバーで構成されています。
図1 当院の緩和ケアチームの構成

専門分野のチーム員が、患者さんと家族の方、主治医・病棟スタッフと一緒によりよい生活を過ごす方法を考えていきます。
緩和ケアチームの関わりは、身体的苦痛の緩和・精神的苦痛の緩和・社会的苦痛の緩和の3つに分けられます。
身体的苦痛としては、痛み、体のだるさ、吐き気、むくみ、呼吸の苦しさなどがあります。
痛みに対する治療は、世界保健機構(WHO)が世界的に勧めている、除痛ラダーに沿って行います。
図2 WHO除痛ラダー

軽度の痛みに対しては非ステロイド性消炎鎮痛薬を使用します。
中等度の痛みには非ステロイド性消炎鎮痛薬と弱オピオイド(医療用麻薬)を併用します。
中等度以上の痛みには、弱オピオイド(医療用麻薬)から強オピオイド(医療用麻薬)へ変更していきます(詳しくは、がんの痛みと治療を参照してください)。
また、神経の痛みや骨転移の痛みに対しては、鎮痛補助薬を使用します。鎮痛補助薬とは、抗痙攣薬や抗うつ薬、ステロイドなどがあります。これらは、神経の伝達物質に働きかけ痛みの伝達を遮断したり、炎症をおさえるなどの作用で鎮痛効果を発揮します。
医療用麻薬(オピオイド)は、全世界で使用され、使用方法も確立されているものです。
医師の指示の下、使用方法を守ることで、安全に使用できます。

オピオイドが医療用として適正に使用される場合、精神的な依存性 (薬物を探し求めて使用し続けてしまうような状態)はほとんどみられません。いつでも中止や減量が可能です。
使いやすいオピオイドがまだなかった頃、死の直前になってようやくオピオイドが使用されたために生じた誤解と考えられます。
現在ではがん治療の早期からオピオイドが使用されるケースが増加しています。
痛みを上手にコントロールすれば、がんの治療を成功させ、社会復帰を果たすことも可能です。より良く生活するために必須な薬剤なのです。
がんの痛みの場合、徐々に痛みが強くなる傾向があり、現在使っているオピオイドの量では不足することがあります。これは、薬が効かなくなったのではなく、薬の量を増やす必要があるということです。
オピオイドは痛みの強さに合わせて増やすことが可能ですので、主治医にご相談ください。

吐き気が出現する原因の一つに化学療法があります。最近では、吐き気などの副作用を予防する薬剤が進歩しています。吐き気が出現する時期や症状の程度に合わせて、制吐剤の調整をしていきます。また、病気により、腸の通過が悪くなった場合に吐き気・嘔吐することがあります。腸の通過を良くする治療や消化液が少なくなる薬剤を使用していきます。
体を動かすことが少なくなると、筋肉が硬くなり、だるさや痛みが出現することがあります。また、病状が進行し、体力が低下することで、体のだるさを感じることがあります。 適度な運動や、お薬の調整など行っていきます。
安静にしているときや、トイレに動いただけでも息苦しさを感じることがあります。呼吸の苦しさは、さまざまな要因があります。それぞれの要因に合わせた治療や不安の軽減など行い、コントロールしていきます。
話をしたり、食事をとったりすることで、唾液が分泌され口腔内の環境をよくしてくれます。しかし、体調がすぐれず食事が少なくなることや、お薬の副作用などでお口が乾く、という症状が出現することがあります。そんな時には、キシリトール入りのガムを噛む・パイナップルを食べる・レモンなど唾液を促すような飴をなめるなどの対策があります。また、唾液線のマッサージや舌を動かす運動をとりいれ、唾液線を刺激し、唾液の分泌を促していきます。

がんと診断された時から、少なからず不安を抱く人は多いと思います。
なかなか先の見通しがつかないことで、どうすればいいか分からなくなったり、治療がいつまで続くのか考えると眠れなくなったりすることもあるようです。誰かに不安な気持ちを話すことで、少し気持ちの整理をつけられるかもしれません。お薬を使用し、夜間ぐっすり眠れるようになることで、気持ちも体も楽になるかもしれません。
また、怖い夢を続けてみることや、起きていても夢の続きが見えたり、虫が見えたりすることがあります。これは、せん妄という症状で、腎機能や肝機能が低下したり、脱水や体が動けなくなったストレス、薬剤の副作用など、いろいろな要因で出現する可能性があります。思ってもいないことを言ったり行動したりすることは、本来の自分ではないため、本人もご家族もとても辛い体験だと思います。せん妄は体が原因で一時的に起こる精神症状です。この症状は、治療をすることで改善できます。
おひとりで悩まずに、ご相談ください。一緒によい方法を考えていきましょう。
気持ちを楽に過ごすことは、こころにもからだにも大変やさしいことです。
社会的苦痛とは、経済的な問題や仕事・家族のことで困難を感じていることなどをいいます。経済的な問題に対しては、医療保険・介護保険などに詳しい、医療相談員(MSW)が対応します。(地域連携室参照)
「家に帰りたいけど、帰れない」と話す患者さんやご家族の方がいらっしゃいます。退院の際に、ひとり暮らしの方や、介護する人がなかなかいない場合には、地域のサポートについて地域医療連携室の係りの者が調整していきます。最近では、在宅医・訪問看護師・薬剤師・理学療法士・ヘルパーなど在宅支援メンバーが多くなり、自宅で往診・薬剤指導・リハビリ・入浴など行えるようになってきました。自宅で過ごすために必要なものを調整していきますので、ご相談ください。
病気になったとしても、自分の生活は続いていきます。
悩みを抱え込まずに、ぜひご相談ください。
自分の思い描く生活を送れるように、何を調整していけばよいのか、あなたやあなたの大切な人の思いを大切に考えて、支援していきます。
病気になって生じた辛い症状、悩み、困ったこと等どのような内容でもご相談に応じます。
例えば、
担当医または看護師にご相談ください。
緩和ケア外来は、平成21年9月から開始し、平成24年1月から「緩和ケア内科外来」と名称が変更になりました。
完全予約制です。予約以外の方の診察はできませんので、ご了承ください。
国立病院機構 仙台医療センター 地域医療連携室内 がん相談支援センター
電話 ダイヤルイン 022-293-0703 Fax 022-293-0709
当院で、入院・通院治療中の患者さんとそのご家族を対象に、緩和ケアチームによるがんの痛み教室を始めました。
痛みのないよりよい生活を送っていただくために、がんの痛みについて、痛みの治療について、使用する薬剤について等みなさんの質問に答えながらお教えします。是非、ご参加ください。
当院では、定期的に緩和ケアに関する勉強会を開催しております。
この勉強会は当院の職員のほか、医療関係者で緩和ケアに興味のある方であれば、どなたでも聴講できます。ぜひ、ご参加ください。
※今後の日程に関しましては院内掲示ポスターおよび今後のこのページ更新をご覧ください。
お問い合わせは、022-293-1111(内線7701)緩和ケアチーム 高橋紀子
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