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全訳 天然痘ワクチン接種クリニックガイド

本冊子について

本冊子は、米国CDC(疾病管理予防センター)が2002年9月に発表した Smallpox Response Plan and Guidelines Draft3.0 ( 天然痘対策計画・指針) の中の Annex3 Guidelines for Large Scale Smallpox Vaccination Clinics (付属書3―大規模天然痘ワクチン接種クリニックのための指針) がのちに改訂されできた Smallpox Vaccination Clinic Guide ( 天然痘ワクチン接種クリニックガイド)を、われわれ宮城パンデミック -インフルエンザ研究会の文献翻訳サブグループのメンバーが手分けして訳したものである。

当研究会は以前にも Pandemic Influenza A Planning Guide for State and Local Officials Draft 2.1 (パンデミックインフルエンザ:地方レベルの対策のための指針)の対訳をつくり各方面にお配りしており、本訳文はそれに次ぐものである。「地域レベルでインフルエンザのパンデミックへの対策を考えるはずの研究会が何ゆえ天然痘のワクチン接種クリニックガイドか?」といぶかる向きも多いかと思われるが、われわれはこれをインフルエンザのパンデミック対策を考える上でのひとつの良い教材と考えている。あるいはここでの天然痘を悪性の新型インフルエンザと置き換えてもらえば理解しやすいかもしれない。天然痘という致死率の高い病気がテロをきっかけに流行し始め 国民全員にワクチンを緊急接種することになった場合に具体的にどのようなことが考慮されるべきかを示したのがこの「天然痘ワクチン接種クリニックガイド」だが、それと原因は違っても、 悪性の新型インフルエンザが出現した場合には(それに対するワクチンの製造がパンデミックに間に合ったと仮定した場合には)当然国民に対する大規模なワクチン接種が開始されるはずであり、地域がそのやり方を具体的に考えておくのもパンデミック・プランニングだからである。 天然痘とインフルエンザのワクチンが質的に大違いであることは重々承知の上である。そっくりそのままインフルエンザの方に使えはしないものの、それでもこの天然痘ワクチン接種クリニックガイドに学ぶところは大きいと思われる。要はこれを地域で責任ある立場にある人々がどのように応用するかであり、それこそ地域レベルでの危機管理である。

本訳は、2002年10月のわれわれの勉強会で提案され、そののちすぐに翻訳サブグループ諸氏が分担して訳し、11月には全原稿が集まり監訳作業に入っていたものであったが、監訳者の能力不足から仕上げに時間がかかり本日やっとのことでお配りできるはこびとなった。当初、前回の Pandemic Influenza の対訳にならって本訳も対訳にしようと考えていたが、そのための労力と製本のページ数(予算等)の都合上、今回は見送り、訳文のみとなった。 もし内容に疑問があった場合には、申し訳ないが原文を探し出して確認されることをお勧めする。もちろん当方への問い合わせ、ご意見は大歓迎である。

監訳者も含め、訳者らはもとよりみな翻訳の素人集団であり、少々の不備はあるかもしれない。しかし、本訳本は訳者のみなが自分の少ない時間を割いて完成させたものであり、発行の遅れや内容の不備等の責めは監修者にある。

2003年2月吉日

訳者(50音順)

本冊子についての補追

本冊子の当初の目的は始めに述べた通り、あくまでインフルエンザでの応用にあります。しかし、昨今の世界情勢は、これをひとり「あくまでインフルエンザへの応用」と涼しい顔をすることを許してくれません。そのことを考えながら次にわれわれの会員のひとりが書いた文章を紹介します。

本冊子が、その本来の目的である天然痘のコントロールの分野で実際に役に立つような事態が起こらないことを切に望みたいと思います。

1980年5月8日、世界保健機関はその総会において全世界天然痘根絶宣言を行い、人類の英知が最も悲惨な病である天然痘を地上から追放し、人類がこの災いから永遠に解放されたことを宣言しまた。しかしその時すでに新しい人類の悲劇の種が蒔かれたのです。その後天然痘ウイルスは米国、ソ連の2施設で保管され、そして1991年のソ連崩壊の日を迎え、20世紀最大の偉業は21世紀の人類の脅威に変わってしまったのです。

江戸時代に書かれた「痘科弁要」には『水痘ハ毎歳、痘瘡ハ参年、麻疹ハ三七弐拾壱年』の周期で流行するとあり、免疫のない子供を中心とした流行が繰り返されていたことがわかります。21世紀に生きる60数億の人類は江戸時代の子供の状態にあります。誰かが故意に一画の駒に触れただけで全てのドミノが次々に倒れる世界が今の人類社会です。私たちの研究会は天然痘を局地災害の色彩の強い狭義のバイオテロとして捉えることはせずインフルエンザと同じく世界同時進行のパンデミックとなりうる怖れへの思いも込め、本 クリニックガイド を翻訳しました。毎世紀に数回の割で起こるインフルエンザのパンデミックと同じく、天然痘の大流行は起こってしまえばそこで住民を守るのは地方自治体職員等の現場の人間です。なぜなら、世界同時多発で同時進行の災害は逃げる場所もなければ、助けに来る人もいないからです。自分の町は自分達で守る、それしか道はありません。

日本語版

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